コラム:心は変わるもの

生前整理・遺品整理

果たされなかった亡き奥様との約束

 

奥様の遺品整理をされている

男性から伺ったお話です。

 

生前の奥様は海を見るのが大好きだったそうです。

ある日入院されて、自身の残り時間が

近いことを感じ取ったのか

ご主人にある希望を伝えました。

 

「私のお骨は墓に埋葬せず

大好きな海へ散骨して欲しい」

 

 

 

 

 

 

ご主人は奥様の希望をくみ取り

そうすることを約束しました。

 

その後、奥様は天寿を全うされ

四十九日も終わりました。

いよいよ海洋散骨に向けて

動き出すタイミングです。

 

しかしご主人はある思いに駆られ

動くことができなくなりました。

 

「散骨したら妻のお骨が手元から

無くなってしまう・・・」

 

子ども達からは

「すべて散骨するのではなく

一部を残しておけばいいのでは?」という

意見もあったそうですが、

もともと一つの体だったお骨を

別々の場所に分けてしまうのは

不自然だと感じたご主人は

約束を破り、海洋散骨はせずに

お墓に埋葬したそうです。

 

心は変わるもの

 

約束を破ったご主人のこの決断は

果たして正しかったのでしょうか?

 

それは誰にもわかりません。

 

家族の死はライフステージとして

非常に大きな変化であり

心に強いストレスがかかります。

 

体が元気な時は

「ピンピンコロリで逝きたい!」

「好きなことをして太く短く生きる!」

という考えの方が多いのではないでしょうか。

 

しかし、一度でも大病をしたりすると

そうした考え方から180度転換した

といった話はよく聞きます。

 

遺言書は書いたら終わりではない

 

終活カウンセラーでもある私は

断捨離の一環として遺言書や

エンディングノートの作成を

お勧めしています。

 

しかし、一度書いたらそれで

終わりではありません。

平常心な気持ちで書いたつもりでも

後で見返すと今の自分の考えとは

違っているのは当然でしょう。

 

これは習慣的に日記や手帳を

書いている方ならばわかると思います。

1年前の自分の日記を読み返すと

「自分はこんなことを書いていたのか」と

驚いた経験はありませんか?

 

 

 

 

 

 

繰り返しますが心は変わるものです。

それは人間ならば当然のことであり

恥ずかしいことでも不思議なことでも

ありません。

そうした変化が自然なことであると受け入れ、

断捨離や整理に取り組んでいただくことを

お勧めいたします。

 

鑑定士  柏原

 

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